日本人講師のワンポイントレッスン【仮定法の時制】

日本人講師のワンポイントレッスン【仮定法の時制】

2021年03月25日 10時49分

日本人講師のワンポイントレッスンでは、外国人講師にはなかなか聞くことが難しい英文法や英語学習の質問について解説していきます。
解説を担当するのは産経オンライン英会話Plusでレッスンを提供中の日本人講師です!

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本日の質問

以下の文型は仮定法過去ではなく、仮定法現在ではないのでしょうか?
「築けていただろう」ではなく「築けているだろう」だと思います。

Were she more confident, she would have a better relationship with her business partners.
「彼女にもっと自信があったら、彼女はビジネスパートナーとより良い関係を築けていただろう」
Business ConversationB1 Lesson43より

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解説

おっしゃるとおり、この文は、現実とは違う「現在」の仮定の話をしています。
「彼女にもっと自信があったら」、つまり「彼女には自信がない」という現実に反する仮定を提示し、
その条件のもとで想定される「いま彼女はビジネスパートナーとよりよい関係を築けている」という架空の状況を話しています。

これを日本語に訳する時、人によってまたは状況によって、
「より良い関係を築けていただろう」と訳する人もいれば、
「より良い関係を築けているだろう」「より良い関係を築けているだろうに」と訳する人もいるでしょう。

つまり、英語では「時制」をとても大事にし、状況によってはっきり使い分けているのに対し、
日本語は「いる」と言っても現在のことであったり未来のことであったり、あるいはありえない現在の仮定であったり、とてもあいまいです
このあいまいさが、英語を日本語に訳す時、そして逆に伝えたいことを英文にする時に混乱を招く大きな原因であると言えます。

細かく「いた」「いる」という部分を見れば、「いた」が過去形で「いる」が現在形なので、意味が変わる場合もあります。
しかし、この状況全体を見た場合に、これらの文から受け取る意味やニュアンスは、「彼女にもっと自信があったら、彼女はいまビジネスパートナーとより良い関係を築けているであろうに、実際は彼女に自信がないために築けていない」ということだと解釈できます。

英語では、状況をクリアーにするために「時制」を明確にします。いくつか例を紹介します。


過去の変えられない出来事について、もし違っていたら、今から見て過去の状況が違っていたであろうという場合

If she had been more confident, she would have had a better relationship with her business partners.

【had + 過去分詞 & would have + 過去分詞】というパターンでしっかり「大過去」とそれによって引き起こされていたであろう「仮定の過去」を使います。


★過去が違っていたら、その結果「今の状況」が違っていたであろうという場合には

If she had been more confident, she would have a better relationship with her business partners.

【had + 過去分詞 & would + 現在分詞】という文型を使います。


今現在の状況が現実と違っていたならば、こういう仮定の「今」が想像できるという場合

Were she more confident, she would have a better relationship with her business partners.
または
If she was/were more confident, she would have a better relationship with her business partners.
と表します。

★英語上達のポイント★

1.英語のセンテンスを見たり聞いたりした時に、それを完全にきれいな日本語の文に翻訳しないこと

2.英語で何かを伝えたい時に、日本語できれいな文を作ってからそれを英語に翻訳しないこと

英文の意味を理解する時に、きれいで完ぺきな日本語に訳して理解するのではなく、英語は英語のイメージのまま全体を理解するようにしましょう
そして、英語を話したり書いたりする時には、まず日本語で文を作るのではなく、伝えたい「気持ち」「見た目」「出来事」を「イメージ」や「映像」として頭に浮かべ、それを直接英語で描写することを強く意識してやってみましょう。
できる限り早く「翻訳」のクセをなくし、英語で考え英語で理解し英語で伝える、ということを常に頭に置いて英語を学ぶのが、英語の上達の大きなポイントです。

 
 
 

本日の講師

Tomoko 先生

こんにちは!ともこです。カナダのバンクーバーに10年以上住んでいたことがある英語教師&医療通訳者で、旅行通訳やビジネス通訳などもおこなっています。実際の生活の中で話す「生きた英語」を身に着けていただけるよう、情熱を持ってお教えしています。
自らもまったくゼロの状態から英語を学んだ経験から、英語の習得がどれだけ大変か、しかし一方でどれほど楽しいかも、よくわかっています。英語学習のゴールにたどり着くお手伝いをぜひさせてください!
お会いできるのを楽しみにしています。