英語学習に活かせる反転授業・反転学習とは?メリットや課題点を解説

英語学習に活かせる反転授業・反転学習とは?メリットや課題点を解説

2020年11月10日 9時28分

反転授業・反転学習とは?メリットや課題点は?

従来の学校教育では、授業後に宿題が課される流れが一般的となっています。この「授業」と「宿題」の順序を反転させるのが「反転授業・反転学習」です。
近年教育業界では、「一斉授業(席について黒板に向かい、教師の話を聞くスタイルの授業)」以外の授業方法を模索しています。その1つとして反転授業(反転学習)があります。今回はこの反転授業についてお伝えします。

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なぜ従来の一斉授業が見直されている?

反転授業(反転学習)を説明する前に、前提としてなぜ従来の授業が見直され、反転授業などの授業方法に注目が集まっているのかを改めてお伝えしておきます。

アメリカ国立訓練研究所による学習定着率を表した「ラーニングピラミッド」については、教育関係者の中にはご存じの方も多いでしょう。簡単に言うと、受動的な学習よりも、アウトプットが中心となる学びのほうが、学習定着率が高いというものです。実体験のある方も多いと思いますが、ただ授業を聞いているよりも、自分の意見を伝えたり、他の人に教えたりしたほうが記憶に残りやすいですよね。

では、学校の授業はと言うと、大人数の生徒や学生、児童(以下、生徒)を席に座らせ、1人の教師が講義を進める「一斉授業」が一般的です。もちろん一斉授業にも良い点は多々ありますが、どうしても受動的な学習になりがちです。先ほどのラーニングピラミッドを考えると、生徒の学力向上という面で、一斉授業は最適な授業方法とは言えないでしょう。

こうした背景があり、教育業界では従来の一斉授業が見直されているのです。反転授業しかり、アクティブラーニングしかり、生徒が能動的な学習をするような効果的な授業方法が求められています。

反転授業(反転学習)とは?

反転授業(反転学習)とは、授業前に動画教材などを活用して事前学習し、授業で意見交換をしたり学び合い・教え合いをしたりする授業形式のことです。従来の「授業の後に宿題が課される」という流れを反転させて、「宿題をしてから授業を受ける」という流れにしていることから、「反転授業(反転学習)」という名称になっています。

一斉授業
反転授業

反転授業の方法は?宿題と授業は何をする?

反転授業の宿題は、動画教材の学習が中心となります。生徒は授業の前にこの動画で単元を学習し、授業に臨む形となります。IT化が進んでいるため、こうした方法の授業も導入しやすい環境になっていると言えるでしょう。

反転授業では、従来の一斉授業のように教師が前で一方的に話すということはほとんどしません。その代わりに授業中は以下のような内容を行います。

  • 動画を基にディスカッションやディベートをする
  • 学び合い・教え合いをする
  • 動画で勉強してきたかを把握するために、教師が質問やテストをする
  • 理解度の低い生徒に個別指導をする

反転授業のメリットとは?

(1)アウトプット中心の授業ができる

従来の一斉授業では、生徒は黒板に向かって席につき、教師の話す内容を聞くという極めて受動的な学習スタイルです。しかし、反転授業の場合にはアウトプットが中心となります。

先にもお伝えしましたが、授業では宿題の動画教材を基にディスカッションやディベートをすることもあれば、生徒が分からなかった箇所や応用問題を挙げて、学び合い・教え合いをすることもあります。ただ、聞いているだけの受け身の授業から、生徒が他の生徒に対して意見を言ったり、教えたりとアウトプットする回数の多い授業となります。

(2)教師が生徒の理解度を把握しやすくなる

教師が生徒の理解度を把握するのは、定期テストになることが多々あります。単元ごとに小テストをして逐一理解度を把握したいところですが、現実問題として範囲が広くて小テストをしている暇がないこともあります。あるいは授業準備、部活、その他教員に分担されている学校内の分掌など、多忙な中で小テストの準備や採点の時間が取れないこともあるでしょう。

そうなると、生徒の理解度を把握できるのは定期テストになってしまいます。その一方で、反転授業であれば、単元の内容を理解できているかどうかを授業の際に確認することができます。

一斉授業の場合、定期テストが終わってしまえば、その単元の内容を復習する機会はほとんどありません。つまり、分からない状態のまま放置されてしまうのです。反転授業であれば、事前の宿題の内容が理解できているかを授業で確かめることができます。

(3)理解度を高められる

授業の際に理解度を確かめられるとお伝えしましたが、それに応じて教師が対応を変えることができます。例えば、理解度が低い生徒には基礎的な問題を、既に理解している生徒には応用問題を解かせる、学び合い・教え合いをさせるなど、個々に合った指導ができるのです。

従来の一斉授業の場合、定期テストで理解度が低いと把握しても、時間が取れずに次の単元に進まざるを得ない状況があります。生徒の心理を考えると、何か分からないことがあっても友達に聞くのは気が引け、教師に聞くのは友達に聞くよりも恥ずかしいことと感じています。

そうなると独学あるいは学習塾でしか解決できず、分からないものを分からない状態のまま放置している生徒も少なくありません。その点、反転授業なら授業のタイミングで理解度を把握できるので、定期テストの前で手を打ちやすくなるのが特徴です。

また、動画教材なら途中で止めて見返すことができます。分からない箇所は繰り返し学習することができるので、特に学習に意欲的な生徒には嬉しい授業スタイルと言えそうです。

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反転授業の課題点とは?

(1)IT環境の整備が必要になる

反転授業の事前学習は動画教材が中心になることは既にお伝えしました。ほとんどの生徒はスマートフォンを持っていますが、「この動画見てきて」と簡単に済ませることはできません。様々な事情からスマートフォンを持っていない生徒もいるため、教育する側でIT環境の整備が必要になります。例えば、生徒全員にタブレット端末を貸し出す等、どの生徒も一様に授業を受けられるようにすることが必要です。

(2)生徒が事前学習をしてこない場合がある

IT環境の問題をクリアして、反転授業を導入した場合にも、生徒が事前学習をしてこない場合があります。学校自体の学力レベルによっては、ほとんどの生徒が事前学習してこないというケースも考えられます。その場合には導入するかどうかを検討する必要がありますが、自発的に勉強する生徒の多い学校であっても事前学習をしてこない生徒はいます。

事前学習をしてくるような工夫をすることは必要になりますが、その一方で事前学習をしても理解できていない生徒もいます。単元の理解度が足りていない生徒には補講や小テストなどでアプローチする必要があるでしょう。

(3)教師の授業準備の負担が増える

動画教材は多くの場合、教師が作ることになり、教師の授業準備の負担が増えてしまいます。ただでさえ忙しいのにもかかわらず、準備に時間が取れないという理由から反転授業に手を出せていないケースもあります。

都道府県や市区町村単位で導入する場合には、動画教材を自治体内で共有するということも可能です。それができれば教師の負担を減らすとともに、教師個人によって差が生じずに標準化が可能になります。

ただ、学校単位で導入する場合にはそうもいきません。これは導入を検討する際にネックになるかもしれません。

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生徒の学習定着を考えると、新たな教授方法を模索していく必要があります。一方で、日々の業務に追われ、不本意ながらもこれまで同様の一斉授業を行っている教師の方も多いのではないでしょうか。負担の多い教師ですから、さらに負担をかけて反転授業をするのは現実的に厳しいと言わざるを得ません。

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